この記事では、釣りをするときの必須アイテム「ライフジャケット」について、詳しく紹介します。ライフジャケットは、一般的に海辺のレジャーで使われるイメージがあるかもしれませんが、川や湖でのアウトドアでも、大切な道具の1つです。
これからライフジャケットの購入を検討している人や、種類について調べていた人は、ぜひ参考にしてください。
ライフジャケットの必要性について
ライフジャケットとは救命胴衣とも呼ばれており、海や川などに転落や入水した時に、体が沈まないように浮かせてくれる道具です。つまり浮き輪と同じですね。
体にフィットするように作られているため、釣りなどのレジャーでは動きやすさを損なうことなく、入水した時の安全性も確保できるという優れた道具です。
人的要因、自然的要因で事故にあう可能性がある
「海や川に落ちなければ必要ないよね。」
という意見もありそうですが、自然相手は何が起きるかわかりません。突風、高波、地震、地震による津波などで、なすすべもなく海に放りだされる事もあります。
また、不安定な足場や疲労、急な体調不良などで足を滑らせて海に転落するなど、自分自身の不注意により海に落ちるという事も考えられます。
「今まで大丈夫だったから問題ない。」「自分は大丈夫。」と過信せずに、落ちてしまった時の事を考えて、水辺のレジャーを楽しむ際は必ずライフジャケットを着用しましょう。
着用することで生存率は2倍以上になる
海上保安庁のデータによると、ライフジャケット未着用の人が海に転落した場合の生存率は、おおよそ27%となっています。つまり、落ちてしまったら73%の確率で命を落とす危険性があります。
ライフジャケットを着用した場合の生存率は60%になり、生存率は2倍以上になります。これでもまだ高いとは言えませんが、生存率は飛躍的に上がりますので、ライフジャケットの必要性がわかると思います。
一部のレジャーでは義務化されている
2018年2月1日には、国土交通省により小型船舶の乗船者にライフジャケットの着用が義務化されました。
主な対象となる人は、渡船(瀬渡し)で磯や沖堤防に渡る人や、乗合船や仕立船で船の上から釣りをする人です。要点をまとめると、下記のようになります。
- ライフジャケットの着用義務化は2018年2月から
- 国の安全基準に適合したライフジャケットを着用する必要がある
- 違反すると船長に違反点数2点が付与され、再教育講習を受ける事になる
- 違反が増えると船長に対して最大6ヶ月の免許停止になる
- 上記により、最悪の場合は渡船禁止にもなりかねない
- 違反点が付与されるのは2022年2月1日から
国の安全基準に適合したライフジャケットは「桜マーク」とタイプで選ぶ
国の安全基準に適合したライフジャケットとは、さくらに”型”の文字が入った「桜マーク」のある製品になり、その中でもA、D、F、Gとタイプがあります。
船を利用して釣りをする方であれば、どのような釣り場にも対応できるように、タイプAを選ぶことをおすすめします。
ライフジャケットは大きく2つに分類される
ライフジャケットは大きく分けると「浮力体式」と「膨張式」の2種類があります。それぞれにメリットやデメリット、特徴がありますので、詳しく見ていきましょう。
浮力体式ライフジャケットの特徴
浮力体式のライフジャケットとは、固形式ライフジャケットとも呼ばれており、内部に発泡スチロールなどの浮力のある素材が使用されています。一般的にはベストのような形状をしており、フローティングベストとも呼ばれています。
比較的安価に購入でき、浮き輪のように破けて沈むことがないため、安全性の面では一番優れているライフジャケットです。定期的なメンテナンスなども特に必要ないので、長期間に渡って利用できます。
しかしデメリットもあり、ベスト自体が分厚く大きいため、動きにくく窮屈に感じます。とくに海や川などの、開放感のある場所で動きにくさを感じる点はとてもマイナスポイントになり、浮力体式のライフジャケットを嫌う人も多いです。
膨張式ライフジャケットの特徴
膨張式のライフジャケットとは、普段は小さくコンパクトに格納されている浮き袋が、入水時に自動または手動で膨らむ仕様になっています。車のエアバッグをイメージしてもらうとわかりやすいでしょう。
形状は上記画像のような、腰回りに装着するベルト式やウエスト型が一般的で、ベスト型によく似た首掛け式というタイプもあります。(下記画像)
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いずれも非常にコンパクトなため、浮力体式のライフジャケットと比べて窮屈に感じず、動きやすいのがメリットです。また、ベルト型はデザイン性も優れており、若い方や女性の方が好む傾向にあります。
しかし、下記のようなデメリットもあります。
- 誤作動により勝手に開く
- 故障により自動で開かない
- 浮き袋が破れる可能性がある
- 一度使用すると炭酸ガスの注入が必要
- 定期的にメンテナンスが必要
入水していなくても、センサーの誤作動や不具合により、大雨や潮かぶりなどで勝手に開いてしまう事があります。また、膨張式は入水時に自動で開く「自動式」と、ひもを引っ張って開く「手動式」がありますが、故障により自動で開かないという事があります。(手動でも開かない事はまずない)
もちろん、自動式は手動でも開く事ができる仕様になっています。しかし、海に落ちると誰でもパニックになりますよね。さらに自動式が作動していないと、余計に焦ると思います。そんな時、冷静になって手動式のひもを引っ張る事ができる人は少ないでしょう。
そのほか、膨張式のライフジャケットは浮き袋によって浮くため、磯場や岩場などの場合は接触して破れてしまう事があります。
また、一度使用するとガスが抜けてしまい、再度ガスを注入するという手間とお金が必要になり、ガス漏れや故障がないか、定期的にメンテナンスをする必要もあるのです。
以上のように、膨張式のライフジャケットは見た目や機能性などメリットも多いですが、デメリットも多くあることを、知っておきましょう。
膨張式ライフジャケットの形状と仕様
膨張式のライフジャケットについて、もう少し詳しく解説します。形状は「ウエスト(ベルト)型」「首掛け型」「ウエストポーチ型」と主に3種類あり、膨張させる方法が「自動式」と「手動式」に分類されます。
「自動式」と「手動式」とは
膨張式のライフジャケットには、「自動式」と「手動式」があります。手動式は着水時に自動で浮き袋が飛び出さず、上記商品画像の左下にあるような「ひも」を引っ張ることで、浮袋が飛び出します。
自動式は名称のとおり、入水時にセンサーが作動し自動で浮き袋が飛び出します。そして、自動式は不具合や故障などで作動しない可能性もあるため、必ず手動式の「ひも」がついています。
ウエスト(ベルト)型の特徴
腰に巻いてるの、マイクの送受信機かと思ってたけど、ベルトタイプのライフジャケットだったんだね(*゚Д゚*)オォォ… pic.twitter.com/90KshO9SA4
— すずお桃伍長@新型ぁ〜コロナウッイルッスがぁ〜にっくいぃ〜🎶 (@szoMK2) August 5, 2020
ウエスト(ベルト)型のライフジャケットは、おそらく膨張式の中でも一番人気があります。邪魔にならずコンパクトなので、移動が多いルアーマンに人気があります。商品やデザインも豊富ですね。下記の動画では、入水した際の挙動を確認する事ができます。
首掛け型の特徴
首掛け型は一見すると浮力体式のライフジャケットに見えますが、薄くコンパクトなため、装着感は段違いに良いです。ベルト式と比べると多少窮屈に感じますが、首掛け式ならではのメリットもあります。
入水して浮き袋が開いた際に首周りで膨らむため、必ず「顔」を水面より上にもっていくことができます。顔が水に浸かっていないことにより精神的な安心感も高まるでしょうから、首掛け型の最大のメリットと言えます。
下記の動画では、入水した際の挙動を確認する事ができます。
ウエストポーチ型の特徴
最後に紹介するのは、ウエストポーチ型です。ベルト型とよく似ており、違いはボンベやセンサー、浮き袋などが、すべてポーチ内に格納されていることです。
また、ベルト型は浮き袋とベルトが一体化されており、最悪、両手がふさがっていても浮く事ができますが、ウエストポーチ型は浮き袋が独立して飛び出すので、自力でつかまらなければなりません。そのためか、ベルト型や首掛け型と比べると、あまり人気はありません。
ライフジャケットを選ぶ際のポイント
基本的には釣り場やレジャーに合わせる
多種多様なライフジャケットがありますが、基本的にはレジャーの種類に合わせて選ぶようにしましょう。例えば釣りの場合は、川釣りや池釣り、海釣りがあり、海釣りの中では磯や船、防波堤からの釣りがあります。
池釣りやルアーマンなど頻繁に移動するのであれば、動きやすい膨張式のベルトタイプが扱いやすいでしょう。磯釣りの場合は膨張式だと、浮き袋が磯に接触して破ける可能性が高いです。よって浮力体式が最適となります。
沖堤防や船釣りなど小型船舶に乗る場合は、国の安全基準に適合した桜マークのあるライフジャケットを着用する必要があります。
流れの速い川でのレジャーは、首掛け式であれば流されながらも顔を水面に出しやすいです。また、浮力体式も障害物の接触に強くおすすめです。
釣り場やレジャー | おすすめのライフジャケット |
---|---|
池や川釣りでよく移動する | 動きやすい膨張式 |
渡船を利用する | 桜マーク付き |
川辺でのレジャー | 首掛けタイプの膨張式や浮力体式 |
磯や岩場での釣り | 浮力体式 |
子供は必ず浮力体式を選ぶ
小さな子供のライフジャケットは、必ず浮力体式を選びましょう。自動膨張式は不具合で浮き袋が開かない場合、手動でひもを引っ張る必要があります。大人でさえ焦る状況の中、子供が冷静になって手動のひもを引っ張れるというのは考えにくいです。
股ベルトのある製品がおすすめ
入水した時の衝撃や川の流れ、潮や波により、ライフジャケットが脱げてしまう事があります。このトラブルを防いでくれるのが、股や脚からベルトで固定してくれる、脱衣防止用の股ベルトです。
小さな子供の場合は、体格が微妙に合わずぶかぶかになることもありますので、なるべく股ベルト付きのライフジャケットを選びましょう。
安全性を最重要とするなら浮力体式がベスト
とにかく安全性を重視するなら、どのような釣り場であっても浮力体式がおすすめです。膨張式は利便性を高めている分、安全性においては浮力体式に到底及びません。
浮力体式は浮き袋が破ける、自動で開かないなどのトラブルに合う事はありませんので、多少窮屈に感じても浮力体式が確実かつ安全と言えます。
ライフジャケットを着用して海や川のレジャーを安全に楽しもう
ライフジャケットの種類と特徴を紹介しました。釣りを始めたばかりの方は、ライフジャケットの必要性に疑問を感じたり、軽視しがちです。しかし、実際には一番初めに揃えなければいけないレジャーアイテムです。
ライフジャケットは水辺で遊ぶときの命綱です。必ず着用して海や川のレジャーを安全に楽しみましょう。
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